愛犬ランちゃん、旅立つ 皆さんの温かい気持ちの中で
今年の3月に我が家の愛犬、ランちゃんの記事を書きました。
愛犬と暮らす幸せ、愛犬ランとかれこれ16年 我が家には今年16歳になる柴犬の"ラン"がいます。内飼いなのでもう家族同然です。夏は涼しい部屋に、冬は暖かい部屋に入れろと両足でドアをゴリゴリしてドア開けをリクエストします。 最初[…]
とても元気でした。
しかし悲しいことに11月3日、家族に看取られながらランちゃんは天国に旅立ってゆきました。
ランちゃんは今年の6月頃まではとても元気でした。
しかし七月のそぼ降る雨の夕方散歩の帰りにランちゃんは突然体調が崩れます。
突然左足を引きずり始め、筆者はとっさにランちゃんを抱き抱えました。
ランちゃんは筆者の腕の中で暴れ、その時「歩いて帰るんだ!」と心の声が聞こえました。
ランちゃんを降ろすと足をを引きずりながら必死に、前を向き、後ろを振り向かずに家までたどり着きました。
数日が経ち、かなり回復したように見えた頃、かかりつけ医で診察してもらったところランちゃんは重い病気であることがわかりました。
それは「慢性腎不全」
先生によると血液検査の状態から、腎臓機能は約25%しか機能していないとのこと。
筆者の一番苦しい時代を乗り越えてこられたのはランちゃんのおかげです。やっと人生に一息ついて、さあこれからたくさんランちゃんと遊んであげようと思った矢先の出来事でした。
しかし落ち込んではいられません。
筆者は気持ちを切り替えて、全力でランちゃんに尽くすと決めてすぐに実行に移すことにしました。
ご飯はリンが少ない食材で筆者が自炊、最初は喜んで良く食べてくれます。
足も回復基調になり、少し遠くまで散歩もできるように。
家のニ階まで階段を途中休みながらも登りきり、毎日の日課のように筆者の仕事場近くでウトウト。
「ああ、良かった、治りつつあるんだ。」と思うも束の間。
8月になりランちゃんの容態が一気に崩れ始めます。
食べ物を口にしない、そのうち水も飲まなくなります。なすすべもなくランちゃんは痩せてゆき、体重は6.5kgに。
次第に口臭が、きつめのアンモニア臭に変わります。
次第に歩くことがやっとな状態になってきます。
ランちゃんは家の中で排泄しない躾を守り、必死に夜中であろうとトイレを筆者に知らせます。
ランちゃんはけなげことに、トイレを筆者に約3時間毎に知らせます。
筆者はその度に真夜中であろうと飛び起きてランちゃんを外に連れ出します。
その頃の筆者の睡眠時間は、恐らく3時間あるかないかだと思います。
10月にはご飯と水を一切受け付けず、液状のロイヤル・カナンの腎臓サポート液体食を水で薄めて注入器で何度も与え始めました。
しかしその甲斐虚しく、ランちゃんが衰弱し、体重は5kgをきりました。
そして口臭はアンモニア臭から、これまで嗅いだことのないきつい臭に変わり、トイレを知らせるための立ち上がりも出来ないようになり、とうとう歩行困難に。
お漏らしが始まりました。
紙おむつを使い始めて、約一週間後にランちゃんは力尽きました。
11月3日、17時5分。
ランちゃんは筆者の腕の中で、妻と三女に看取られながら、最後に小さく二回吠えて、その後全身の力を込めて数回呼吸をして旅立ちました。
これまでほとんど吠えないランちゃんが最後に二回ほえて。
辛かったのかもしれません。
痛かったのかしれません。
でも看取った家族全員はランちゃんの感謝の言葉と受け止めました。
ランちゃんを大切に見守ってくれた人達
第一にお医者様です
我が家にランちゃんが来て以来のかかりつけ医です。
先生はとても無口ですが、筆者は先生の気持ちが伝わりました。
何よりありがたかったことは満身創痍のランちゃんが苦しまない治療をしてくれこと。
無理無駄な治療をせずに、ランちゃんへの負荷を軽くして、家族と大切な時間を過ごすことができる先生の治療方針でした。
そしてランちゃんが旅立ち、お寺で葬儀をすませ、家に帰り、もうこれ以上涙は出ないと思っていた時に届いた先生からの「蘭」のお花。
なんでこんなに涙が出るのかと言う程に涙が溢れてきました。
ランちゃんの本名は「蘭ちゃん」です。
心より先生に感謝を申し上げます。
長い間、ランちゃんを診てくださり本当にありがとうございました。
そして妻の仕事仲間
妻の仕事仲間の友人(羊毛フェルト作家さん)が作ってくださったフェルトのワッペン。ランちゃんの特徴を捉えて本当に可愛く、綺麗に作っていただきました。
とてもじゃありませんが付けて出歩くことなどはできません。我が家の宝物です。
出来栄えは素晴らしくて、作家さんのページをお礼の気持ちを込めてインスタのURLをご紹介させていただきます。
そして近所の方々
近所の方が、ランちゃんがやっとの状態で外で歩いている時に「頑張れ、ランちゃん!」と何度も声掛けをしてくれました。ランちゃんが亡くなったと聞くと一瞬声も出ない様子を見て、改めてランちゃんは近所の皆様に愛されていたことを思い知らされました。
ランちゃんはたくさんの人を幸せにして、たくさんの人に温かく見送くられた愛犬でした。
意外なこと
筆者は相当なペットロスになり、おそらく一ヶ月は悲しみに暮れることを覚悟していました。
ところがお寺の斎場で葬儀を挙げ、短い読経を聞くことでで心がとても穏やかになり、筆者は数日で立ち直ることがでました。
これまで何度もお寺に行きましたが、意外というか、読経を聞くことで悲しみがハラハラと剥がれ落ちてゆくことを初めて肌で感じました。
とても不思議な体験でした。
ランちゃんのいる世界
ランちゃんが最後に見せた、足が不自由な時でも、辛かったであろう時でも、後ろを振り返らず、真っ直ぐに前に、前に歩く姿が、時折脳裏をよぎります。
空を見上げるとランちゃんが天国から見守っている気配を感じます。
今筆者が心穏やかに過ごせるのは、全てランちゃんの優しさのおかげだと思います。
ランちゃん、安らかにね。
天国で楽しく過ごしてね。
15年間ありがとうね。
筆者のジャージの上でお昼寝をするランちゃん
慢性腎不全
「慢性腎不全」は人もワンちゃんも症状は同じ、症状が出た時は手遅れということも同じです。
腎臓機能は決して回復しません。残された術は腎機能をいかに持たすかが唯一の療法ではないでしょうか。
腎臓が機能不全になると尿素が体に回り、最終的に尿毒が体中に回り、嗅覚、視覚、そしてステージ4になると粘膜が溶解し始めます。
恐らくランちゃんはステージ4に達してしまい、実はとても辛くて苦しい状態だったと思います。
しかしランちゃんは意識混濁の中でも弱音を吐かず、静かに息を引き取りました。
愛犬の慢性腎不全には予兆があります。ランちゃんの予兆です。
- 散歩を嫌う
- ご飯を食べなくなる
- 口臭が変わる
- 定期検診で血液検査の数値が変わる
もし読者さんの愛犬でそんな予兆が出た時、出来るだけ早くかかりつけ医の先生とよく相談して対処していただきたいと思います。
ランちゃんは間違いなく、先程挙げた予兆を筆者に知らせていました。しかし筆者はそれを見逃しました。
まさかこんなに元気なランちゃんが亡くなるはずがないと・・
参考までに筆者の自炊料理を紹介します。
でもあまり効果は無いと思います。
栄養を取れば腎臓に負荷はかかるし、栄養が少なければ体は衰弱します。
リンとナトリウムの摂取に気を使いました。
(鶏肉は、時々豚の赤身、ナトリウムの少ないツナ缶などにしました。)
・ロイヤルカナン、サイエンスダイエットの腎臓サポートの缶詰
最初はかなり良く食べましたがそのうち食べなくなります。その後は量を減らしてミキサーで流動食にして注入器でかなり強引に流し込みました。
そしてロイヤル・カナンの液体流動食を中心に与えました。
それすら受け付けない朝、その日にランちゃんは旅立ちました。
愛犬を最後まで看取ることができて筆者は改めてランちゃんに感謝しています。
そしてこれからの人生、天国にいるランちゃんに見守られながら、ランちゃんに背中を押されながら、前を向いて生きていこうと思います。