中高年の就活 個人事業主で自立は正しい選択ではない3つの理由
新型コロナウイルスがもたらす人々への危機感は未だに収まらず、お国の経済政策は停滞し、そして我々国民は不況の最中にあります。
まっとうなエコノミストが予見した通り、失業者が増えています。
失業すれば職探し。
しかし、日本経済は低迷中での就活はかなり厳しいと言わざる得ません。
特に中高年の就活の厳しさは吹きすさむ、嵐と酷寒の状態です。
筆者は今から5年前に日立製作所を早期退職をして、転職、派遣、完全個人事業主、そして今は「半会半個」で生計を立てています。
中高年の就活については、筆者の知る全てのノウハウをまとめてKindle本にまとめましたので是非お読み頂ければと思います。
さて今回お話ししたいことですが、会社生活、転職が厳しいからと言って、
個人事業主になる選択肢について、筆者の経験談を元にお話しをさせて頂きます。
個人事業主は実に簡単になることができます。
税務署に紙一枚出せば、その時から社長です。
問題は当たり前な話しですが、収入をどう確保するかです。
結論を先に。
会社勤めの人が、安易に個人事業主に転換して成功する確率はかなり低いと言わざるを得ません。
従いまして筆者は安易に個人事業主になることは茨の道で、やめたほうが良いと先に申し上げます。
最初に、その3つの理由です。
理由その1 :自分の力で稼げるのか
もし就活中の方が個人事業主になると考えていた場合、何かしらの事業計画を立案するかと思います。
- これまで培った技術・技能を生かす
- 人脈を使ってコンサルをする、業務請負をする
- 趣味を生かす
- 資格を生かす
- アイツに頼べばなんとかなる(ハズ)
などでしょうか。
筆者の知る限り、上記に挙げた前提で事業計画を立て、個人事業主に踏み切った場合、遅かれ早かれ行き詰ります。
例えば、営業成績優秀、大規模プロジェクト完遂、新製品開発・・
その成果は、果たして自分だけの努力で成しえたものなのでしょうか。
自身ではそう思っていても、実は企業の看板だったり、実は自身が気が付かないだけで、成果は周りのスタッフの努力の賜物だったりと。
営業職で会社の接待費で仕事を獲得してきた人もNGです。金の切れ目が縁の切れ目です。
冷静に考えると、個人の力量だけで勝負してきた人は数少ないものと言えます。
もちろん例外はあります。
例えば、会社お勤め時代に、多くの企業にベネフィットを与えて、かつ自分の力量で成果を上げてきた人です。
その2 その事業計画に持続性と継続性はあるか
良い(悪い?)例が、今経済を危機に陥れている新型コロナウイルスです。
ある日突如として世の中に現れて、商機を一気に蒸発させてしまうことなど、実は良くあることです。
実は筆者も昨年の春に、事業拡大を計画して、法人化一歩手前まできました。
レンタル・オフィスを借りて、社用車を買う寸前まで来ました。
そこに新型コロナウイルス登場と、メディア謹製恐怖報道。負のダブルパンチ到来。
幸いにも筆者は投資家視線で、その先の事態が見えたので法人化計画を断念。
もしあそこで「状況を見極めずに前のめりになっていたら」と考えると寒気がします。
結果として、ありがたいことに分相応の仕事を頂戴しながら、今に至っています。
これは筆者の例でしかありませんが、下記のような慢心をしないことです。
- 何かに、または人に期待する(依存する)
- 今お持ちの技術に期待する
理由その3 捨てる神とドン底に落とす悪魔がうじゃうじゃいる
会社勤めをしているとわかりませんが、個人事業主になることでわかることがたくさんあります。
- 突然の契約打ち切りなど当たり前
- 新規顧客の獲得は想像以上に困難を極める
- 新規顧客はリスクがいっぱい(何かに付け込み、騙す輩のなんと多いことか)
上記事態にズッポリはまってしまう人の特徴は受け身の人です。
店舗を構え、サイトを立ち上げて漫然とお客さんがくるのを待つ。
それでお客さんが来るなどありえません。
やってくるのは詐欺師か、悪魔の勧誘ぐらいです。
そこに乗っかると完全にアウト、借金を抱え再起は困難となるでしょう。
個人事業主の実態
転職を考えるとき、勤め先の不満はなんでしょうか。
その不満を我慢、許容することはできないものでしょうか。
出来ない理由はなんでしょうか。
その答えが辞める理由に値するならば、それは誰も止めることはできません。
しかし辞めると決めたら、辞める時には必ず就活をして、そして転職先を見つけておくのが常套です。
いきなり個人事業主を選択したら、繰り返しになりますが待ち受けるのは茨の道です。
個人事業主年収のグラフを見てください。
引用:jigyou-tax様
年収435万円までで約4割を占めます。
- 1位:135万円以上~185万円未満(14.3%)
- 2位:185万円以上~235万円(13.9%)
- 3位:335万円以上~435万円(13.6%)
中央値となると241万円です。
- 平均値:384万円
- 中央値:241万円
241万円。。
そこから健康保険が約30万円引かれ、もろもろの税金が引かれ、固定費が引かれ、手元に残るのは良くて150万円くらいでしょうか。
町で見かける昔ながらの電気屋さん、酒屋さん、魚屋さん。
「客がいるところをみたことが無い」と思われがちですがちゃんと得意先を持って、事業を持続化させているのです。
しかもそれは脈々と続くお付き合いがあってのこと。
町の商店、侮り難しです。
話しを戻して、個人事業主になる覚悟は「絶対に成功する」ことが担保できなければ最後の選択肢です。
再度余談ですが、筆者の絶頂期は2年前。現役世代の給与所得まであと一歩のところまできました。
筆者の個人事業主への歩みと現在
筆者は会社を辞めて零細企業に約一年間勤めました。
目的は世の中を知ることでした。
大企業にいると自分の実力を測ることができなくなるものです。
そして零細企業で必死に働くことで、自分の力量がわかります。
働くうちに再度チャンスが訪れました。
海外の友人からの誘いで、大手通信会社のグループ会社で働くことになりました。
雇用形態は派遣です。
ここで更に派遣で働くという社会勉強の研鑽を積むことができました。
そして並行して個人事業主となり、いわば半派遣、半個人事業主の生活が始まりました。
約2年間お勤めをして独立しました。
最初の収入源
最初の収入は、これまでお付き合いのあった会社のなんでも引き受け仕事が中心でした。
要求に対して、もう筆者は何にでも対応しました。
EXCEL VBAを活用した業務改善、Pythonを使った評価システム、製品試作の塗装などなど。
それと同時にスポットのお仕事も引き受けました。
始めた頃は、これまでの自分の技量でこなせる対応が中心でした。
そのうちに自分の力量を超える仕事量になってゆき、事業拡大を計画したところにコロナ登場です。
一気に事業縮小の気配が襲います。
やがて気配は現象となり、個人事業主を焼き尽くす規模にまで拡大します。
捨てる神あれば、拾う神あり
我が社も、先の会社から契約打ち切りの通告。
営業ができない、訪問営業をかけようにも相手も業績不振に陥ていることもあり仕事量が激減しました。
そこに救世主、拾う神が登場します。
詳しくは守秘義務があり申し上げられませんが、ネットワーク関連のお仕事です。
もちろん引き受け、現在契約社員+スポットでしのいでいます。
「止まない雨はない、土砂降りの時は軒を借りる」ことにしました。
これが先に述べました「半会半個」状態です。
まとめ
なにか筆者の経験談になってしまいましたが、これはあくまでも個人事業主の緊急事態下の存亡をかけた生き残り術の一例です。
会社を辞める時の選択肢は、転職を第一に考えることが常道です。
それをお伝えしたくお話しをさせていただきました。
もう一つ、長々と書いてきましたが、個人事業主への道は波乱に満ちているということです。
その波乱にご自身が耐えられるのかを計る必要があります。
ざっと整理すると個人事業主を選択する基準は下記になるかと思います。
- 行動力がある
- 向学心がある
- 謙虚なこと
- お客様視点で思考できる
- ひたすらお客様のニーズに尽くすことができること
モノ、技術、商品など売るものは次で、人(自身)を計る必要があります。
上記基準を満たし、目的にひたすら立ち向かい、時には臨機応変に、そして事業を継続することで「拾う神」が現れます。
今、「なぜ?」って思いました?
その理由は簡単です。それは筆者が体験してきたからです。
そして、最後に少しスピリチュアルな話になります。
「その姿、誰かが見ている、聞いている」
これが今回のキモの一言です。