A氏を辞職に追い込んだ会社の事情
前回A氏のお話しをさせて頂きましたが、A氏だけのお話しではバイアスがかかったものとなりますので、今回はA氏が勤めていた会社の事情をお話しいたします。
今回のお話しはA氏の勤めていた会社というより、「会社とは」という普段あまり意識していないお話しでもあります。
会社は社員を成果で査定する
会社は社員を成果で査定します。
会社は慈善事業ではありませんので、役に立たない社員は残酷な言い方ですが無用です。
第35第アメリカ大統領、ジョン・F・ケネディ氏の、あの有名な名言は社員にとっても、会社への向き合い方に見事に合致します。
「Ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.」
「会社があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが会社のために何を成すことができるのかを問うて欲しい。」
中小企業の社長に文句を言えば、社長は斬り返してこう言うでしょう。
「ならば文句は成果を上げてから言え」と。
そして心の中で「自分で会社を作ってみろ」と思うことでしょう。
悔しい話しですが、これは反論する余地のない正論なので斬り返しはできません。
さて、成果とは様々です。
技術者なら、新しい技術を生み出すこと。
営業なら、売る上げを上げること。
いずれにせよ社員の会社活動は、会社の売り上げ金額に帰結します。
大企業で有れば「二度あることは三度ある」「失敗も財産のうち」「ノウハウの蓄積」と失敗を許してくれることもあるでしょう。
大企業の経営はポートフォリオがされており、全体解のスケールが大きく、上記のような土壌があります。
ところが中小企業はそうはゆきません。
中小企業の事業コアは、基本的に一本勝負なので失敗は倒産の元になります。
A氏は営業職であり、事業企画も担っていました。
中小企業への「転職の法則」
中小企業へ転職し、どんなにブランドを高めても売れなければ成果とみなされません。
ですので転職活動は慎重にする必要があるのです。
転職後の「こんなハズではなかったトラブル」の解決策は1つしかありません。
それはマッチング。
A氏は、先に述べた法則「売れなければ成果としてみなされない」に気づかずにいました。
A氏は気概を高く持ち「自分の売り上げになるかは重要ではない」「会社にとってよければ」と。
この考えこそが「大企業と中小企業とのギャップ」で、かつ危険なのです。
A氏の活動で企業ブランドは向上しました。
しかし、会社は最初の入社時の約束(条件)の認識は薄れ、次第にその約束にこだわるこで、突然売り上げを要因とする牙を向いてきます。
A氏のように。
A氏は企業ブランドの向上に大いに貢献しましたが、売り上げの貢献はできていませんでした。
まとめ
これから就活、転職をすることをお考えの方は、
「とにかくどこかの会社に入れば良い」
も大切ですが
「ちゃんと会社に貢献できるか」
を考えて行動をしましょう。
そのためにもマッチングを念頭に行動しましょう。
そしてなにより、冒頭で申し上げた心構えが不可欠です。
「会社があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが会社のために何を成すことができるのかを問うて欲しい。」
就活・転職時に、その人に、そして会社にとっても有意義な転職となることでしょう。
筆者の本でも触れましたが、会社は社員を3つに分類しています。
- 社内失業人員:仕事をしない、できない
- 社内余裕人員:先行投資で研究などに従事
- 社内余剰人員:その他働く者すべて
①社内失業人員と③社内余剰人員が、社員の多くを占めています。
いつ何が起きても不思議ではありません。
「今の会社にいれば安泰」、油断は禁物です。