ピケティでひも解く 間もなく当たり前になるK字回復 その傾向と対策

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ピケティでひも解く 間もなく当たり前になるK字回復 その傾向と対策

最近良く目にする「K字経済」「K字回復」(以降「K字回復」に言葉を揃えてお話しいたします)。

K字回復を一言で言うと「富む者は益々富み、貧しい者は益々貧しくなる」状態で経済が成長してゆくこと。

下図のように。

誰かの話しに似ていますね。

そう、「一部の人、一部の地域が先に豊かになれ」と鄧小平氏が説いた「先富論」。

引用:Wikipedia様

正確にはこう述べています。

「先に豊かになれる者たちを富ませ、落伍した者たちを助けること。そして富裕層が貧困層を援助することを一つの義務にすることである。」

理念は立派です。ところがどうでしょう。

今の中国は「一部の人、一部の地域が先に豊かになれ」で終わってしまい、資本の再分配が行われず、過酷な格差社会になっています。

この格差社会の拡大が今後長期的起きうることであることを理論ではなく、歴史的統計データからつまびらかにしたのがフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏が書いた「21世紀の資本」です。

ですので、ここはピケティの理論をお借りして「K字回復」を説明することにいたします。

「21世紀の資本」の今回のテーマに合わせて筆者なりにザクッと3つにまとめてみました。

  1. 富む者は益々富み、貧しい者は益々貧しくなる。
  2. 所得が増えたのはこの100年であり、歴史的にはかなり珍しいトレンド
  3. r>g

本の題名にある「資本」について説明すると、のっけからややこしくなるので以降「お金」と置き変えてください。

富むものは益々富み、貧しいものは益々貧しくなる

アメリカ、中国などに見る、富裕層と貧困層の格差。日本でも予兆があります。

ソフトバンクの孫正義氏、ソフトバンクグループの社外取締役を務めたファーストリテイリングの柳井正氏など、これまで日本では見かけなかった大富豪の登場です。

【柳井正氏】
日本最大の資産家であり、2020年のフォーブス長者番付で世界41位、日本1位。保有資産額は2021年1月時点で、438億米ドル (約4兆5,481億円)。

資本があれば投資などで配当金、利息などの収入があり、より多くの資本があれば収入の規模が大きくなり益々富みが膨らみます。

対して資本が少ない者は日々を過ごすことで手一杯になり、まして家、自動車などの資産をローンで買うことで負債を背負い、投資どころか利子の支払に追われて益々貧しくなってゆきます。

今後世界のGDPは、年率1.5%で成長するとピケティは予測しています。

これが「K字回復」の状態です。

企業も同じです。新型コロナで業績が上がる業種、下がる業種の明暗がはっきりしてきました。

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所得が増えたのはこの100年であり、歴史的にはかなり珍しいトレンド

筆者がピケティの本を気に入ってところは図、グラフが多いことです。

「21世紀の資本」の歩き方
「21世紀の資本」は厚い本で、かなりの集中力が必要な本です。筆者はかなり時間をかけてどうにか読み切りました。その上で
「21世紀の資本」の歩き方は、図・グラフを眺めて「んっ」と思ったらそこを読む、それを繰り返し興味が沸いたらグラフの関連性が知りたくなりますので、そこで一気通貫で読む、というやり方を筆者はススメします。

さてそのグラフの中で、筆者が一番納得できる図です。

ピケティの素晴らしいとことろは、過去、特に過去300年に渡り、様々な国の経済統計を綿密に分析しているところです。

上記のグラフでわかることは成長率が現在進行形で下方向に向かっていることです。

日本もまたしかりです。

日本経済、特に就業者所得はプラザ合意から約30年間、上がることはなく、経済成長もなく「失われた30年間」と言われています。

日本経済はピケティの予測をまるで先行しているようで、良いお手本を示しているとも言えます。

余談です。

不思議なことに所得が上がらない状況にもかかわらず、日経平均は先日3万円まで登り詰めました。

その理屈はエコノミストが言うところ「金融緩和で市場にお金が余り、株、債券、先物に回った」との解説が大半を占めています。

しかし、筆者はなんとなくその理屈が腑に落ちません。

新型コロナがあっても「企業業績に変化はない」「業績が上がった」を合わした数は上場企業の半数を超えています。更に先を見通せる企業は、先行投資をしています。

筆者の考える理屈はお金がジャブジャブ余っているのではなく、企業の生産物(製品)を買う国民に罰金を食らわす、政府の経済政策が間違えたのではないかと確信しています。

そう、それは経済の常識「消費無くして経済成長無し」を無視した消費税増税です。

r>g

ここまで下記について説明してきました。

  1. 富むものは益々富み、貧しいものは益々貧しくなる。
  2. 所得が増えたのはこの100年であり、歴史的にはかなり珍しいトレンド

①②を証明する式が「r>g」です。

経済学の本は微分・積分、連立方程式など、まるで数学の教科書みたいなものですが、これまたピケティの「21世紀の資本」の素晴らしいところは、数式は極めてシンプルにまとめていることです。

この式の意味するところは下記の通りです。

資本収益率>成長率

さてまた「資本」という言葉が出てきましたので、いよいよ資本を説明いたします。

資本とは繰り返しになりますがお金と置き換えてください。そのお金が稼ぐ力(収益率)、例えば配当金、利息などが含まれます。

成長率はGDP。

今の時点で当てはめてみます。

この低金利時代の中、配当金、利息は数%を維持しています。
キャッシングする利子ももちろん数%。その利子はそのまま誰かの利息となり、利益となり、お金持ちのお金が増えます。

対して日本の成長率は実質0成長。

置き換えてみましょう。

株式の配当利息(1%以上)>GDP(0.2)

ピケティ氏は「r>g」は300年間の歴史的揺らぎのない事実であると言い切っています。

300年間の経済情報をビッグデータ処理の結果ですから間違いはないでしょう。

何を言いたいのかと言えば、資本収益率を高める側にいないと下ベクトルに向かい、これからの時代、相当「ヤバい」ということです。

まとめ(対策)

今生活で手一杯の人は、現状に甘んじているとこれから益々貧しくなってゆきます。

さて対策ですがピケティの本と筆者の経験を踏まえてお話ししたいと思います。

対策、それはとにかく資本(お金)を増やすことです。

資本を増やすには2つの方法しかありません。

・質素倹約に努める
・収入を増やす

「これ以上、質素倹約も収入も増やせない」だから「お金は増えない」と思った読者の皆さん。

富む者は益々富み、貧しい者は益々貧しくなる

どれもできないと思った時から、あなたの進む人生のベクトルは下方向に向かってしまいます。

筆者の例で恐縮ですが、筆者は大企業から零細企業に転職し、昨日のことがまるで嘘のような資金不足に落ち入りました。

最初は半端なく凹み、しかしめげずに徹底した節約を敢行。そして職を変えて収入を増やすことでやっと危機を脱し、今に至ります。

もしあの時、あの環境に甘んじ、資産の切り崩しを続けていたら、今頃下方向のベクトルに沿ってかなり困窮していたことでしょう。

諦めが肝心ではなく、諦めずにもがき苦しみ、苦労をいとわず、踏ん張り、前に進むことで、これから進むべき道のベクトルを上方向にすることができるのです。

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