「紺碧の艦隊」用語説明①:コミンテルン
現在(2020年4月27日時点)Amazonプライム・ビデオで「紺碧の艦隊」を観ることができます。
ストーリーは太平洋戦争で散った英霊が前世から黄泉がえりをして、かつての戦争の過ちを繰り返さないように後生で奮戦するアニメです。
しかし歴史は繰り返し、日米は太平洋戦争に突入してしまいます。
その後日本軍は「もしあの時、あの技術を採用していたら」完成していたであろう兵器と、軍部の内紛など起こさなければ練られたであろう最善の戦略を遂行します。
そんなシミュレーションを観ることができるアニメです。
少し飛びすぎていますが「紺碧の艦隊」ではジェット機、戦略爆撃機、巡航ミサイル、SLBM、7万トン級カタパルト式空母、コンピューターなど登場しますが、これはこれで近代戦のシミュレーションを観るようでとても参考になります。
そして「紺碧の艦隊」には歴史の史実が仕込まれています。
- コミンテルン
- 影の政府
この史実が底流にあるアニメを、筆者は観たことがありません。
そこで「紺碧の艦隊」をより深く知ることのできる上記用語解説をしたいと思います
今回は①のコミンテルンの用語解説です。
アニメ「紺碧の艦隊」で何回かコミンテルンという言葉が出てきますが説明がありません。
最初に、このようなアニメを書いた作者が気になり調べてみました。
「紺碧の艦隊」はもともと小説で、著作作品には歴史を描いたものが多くあり「なるほど!」と思いました。
日本の小説家、SF作家、推理作家、評論家。「紺碧の艦隊」の大ヒットで、いわゆる架空戦記小説の世界を代表する小説家として広く知られている。静修女子大学(現・札幌国際大学)教授も務めた。 日本文芸家協会会員。日本SF作家クラブ会員。現代俳句協会会員(旭太郎名義)。
原作小説「紺碧の艦隊」は荒巻義雄氏が1990年に執筆を開始して、1996年に完結した長編小説です。
コミンテルン
コミンテルンを身近に理解できる書籍は、あの「よど号」事件を追いかけたノンフィクション「宿命―「よど号」亡命者たちの秘密工作」です。新潮文庫から2000年7月に発刊されましたが廃刊されています。
大変な良書です。筆者は再刊を望みます。
著者は高沢皓司氏です。
全共闘運動を経験したのち記者、編集者を経てフリージャーナリストとなる。専門は戦後日本の社会運動と学生運動。90年以降北朝鮮訪問を重ね、亡命者たちへの取材を続ける。99年「宿命」で講談社ノンフィクション賞受賞。
この本読むと北朝鮮問題と社会党、そして共産党の実態が良くわかります。
中でも拉致問題を含めて、戦後の日本でコミンテルンがなした役割りについて、これほど明解にわかる本はありません。
さて「コミンテルンは陰謀説だ」と言う方もいますが、コミンテルンはれっきとした事実です。
それは2019年9月26日再販された、ジョン・アール・ヘインズ 氏とハーヴェイ・クレア氏の共著で、日本では中西輝政氏が監修された「ヴェノナ」読めばわかります(2020年4月27日現在、再度廃刊になったようです。Kindle版は販売しています)。
※正直「ヴェノナ」は難解な書籍です。筆者も読み終わるのに相当な集中力と時間を使いました。残念ですが売れる本ではないと思います。
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残念ながら未だヴェノナ文書の全容解明は進んでおらず、書籍「ヴェノナ」には太平洋戦争開戦に至ったコミンテルンの暗躍については書かれていません(全容解析が進まないのは、原本が暗号文だからという説があります)。
しかし「ヴェノナ」を読むことでコミンテルンなる組織は実在し、その組織の工作で日本はとてつもない惨劇を招いたことがわかります。
「ヴェノナ」とコミンテルン研究を続ける江崎道郎氏の書籍を合わせると、共産主義がいかにひどいものかわかります。
史実でも「紺碧の艦隊」でもルーズベルト大統領が戦争を仕掛け、最終的に日本は「ハル・ノート」を突き付けられて宣戦布告を強いられます。
出展:Wikipedia様
当時のルーズベルト大統領、続くトルーマン大統領の側近はソビエトのコミンテルンのメンバーでした。
朝鮮戦争から排除されたマッカーサー元帥は1952年5月3日の公聴会で「もし日本が原料供給を断ち切られたら1000万~1200万人の失業者が日本で発生するだろう。それを彼らは恐れた。従って日本を戦争に駆り立てた動機は、大部分が安全保障上の必要に迫られてのことだった」と回顧しています。
「紺碧の艦隊」ではマッカーサーが影の政府と戦い、トルーマン大統領を誕生させて、続く旭日の艦隊でアイゼンハワー大統領と日米講和を結ぶ話になっています。
ここにも荒巻義雄氏によってコミンテルンの考察が織り込まれています。
コミンテルンの誕生
コミンテルンによる太平洋戦争計画は開戦前の1929年10月24日、暗黒の木曜日から始まります。
この日、アメリカ経済に大恐慌が襲います。当時のフーバー大統領(共和党)は対策に緊縮財政政策をとり、失業率25%、失業者1,200万人という未曽有の経済悪化に陥り失脚します。
その後、共和党経済政策の失敗を突いて、1933年に民主党のルーズベルトが大統領になります。
同年11月16日、米ソ間で国交が樹立します。
ここからソビエトによる工作、日米太平洋戦争開戦作戦が始まります。
米ソ国交が樹立したことでソビエトのスパイが大量にアメリカに潜入します。そしてアメリカ国内に共産党というスパイ活動の拠点を築きます。
このスパイ達が狡猾なのは自ら手を汚さず、世論を形成し(プロパガンダ)、半日感情を猛烈に煽ったことです。
最初の代表的機関が「アメリカ中国人民友の会」なる市民活動団体で、スローガンは「日本の侵略に抵抗する中国人民の戦い」。
その団体の会長がマックスウェル・スチュアート氏。彼はネイション誌の編集長でかつソビエトのスパイであることがわかっています。
その後、共産党は日教組と同じ団体、労組950万人を組織するなど、アメリカは一気に左翼化します。
その後、日本にアメリカとの戦争を決断させた日本にとって屈辱的な「ハル・ノート」はルーズベルト大統領政権の財務次官補、ソビエトのスパイ、ハリー・ホワイト氏が作成したものです。この事実もヴェノナ文書で証明されています。
ソビエトのコミンテルンはこのような狡猾な手(プロパガンダ)を使ってアメリカ国民を扇動し、日米を戦争させることに成功しました。
出展:Wikipedia様左がハリー氏
ちなみに当時の日本の内務省、外務省はこうした動きを察知し、当時の日本政府に極めて優れた現状分析がれたレポートしていましたが黙殺されてしまいました。無念です。
まとめ「紺碧の艦隊」が示すもの
「紺碧の艦隊」は太平洋戦争は実は日米共にソビエトの情報戦に負けたことを知らしめ、こうしたプロパガンダ戦術に嵌まらなかったら、の姿を描いたものだと筆者は思います。
そして今、様々な組織によるプロパガンダが盛んに行われています。
4月27日の産経新聞で典型的プロパガンダのニュースが報じられました。
以下産経新聞様からの引用です。
新型コロナウイルスが広がる欧州で、中国への警戒論が急浮上している。中国が医療品不足の国を支援する「マスク外交」に乗じ、メディアや政治家の対中批判を封じ込め、西洋に対する「中国の優位」を押し付けようとするからだ。当面は中国に依存せざるを得ない欧州連合(EU)も、対中姿勢の見直しに動いた。
イタリアでは3月、中国外務省がマスク支援について公表したツイッター映像に、偽造疑惑が沸騰した。
住民がベランダで歌い、拍手する映像で、「中国国歌が演奏される中、『ありがとう、中国』と声をあわせるイタリア人」と紹介された。
だが、同じ映像が伊紙のウェブサイトにあったことが、報道で判明した。伊国民が、ウイルスと闘う医師や看護師に拍手を送った様子を報じたもので、中国とは関係がない。
「紺碧の艦隊」を観ていると、筆者は荒巻義雄氏の、今なお続く「プロパガンダへの警鐘と、プロパガンダはなくならない」というメッセージを強く感じます。
つづく。