国難へ立ち向かえ!3分でわかるMMTの正しい理解
政府が昨年に消費税を10%に増税し、3Q(10月~12月)のGDPは7.1%も下落しました。
そして今(4月25日)、ニュースでは「失業者の増加」と「夏・冬ボーナス支給額が下がる」と盛んに報道しています。
まもなくこのような記事が配信されるでしょう。
- 税収が減り、国の財政が破綻する。
- もう一段の消費税増税が必要だ(すでに25%の必要性をリークしています)。
日本経済が低迷する中で、コロナショックも重なったこの時期に、再びMMT(Modern Monetary Theory:現代貨幣理論)が浮上してきました。
MMTに対する見解をネットエコノミスト論者に例えると、「三橋貴明氏VS上念司氏」です。
三橋貴明氏はMMT推進論者、上念司氏はどちらかと言えばMMTに懐疑的です。
引用:三橋貴明氏@日本経営合理化協会様/上念司氏@幻冬舎ゴールドオンライン様
財務省が猛烈に否定するということは、実はMMTは正しいことの証左だと筆者は考えおります。
MMTとは「理論」です。
MMTが正しく理解されないのは「理論」と「政策」をごっちゃに考えてしまうからだと思います。
MMTは偏った政策と繋ぐと「混ぜるな危険」な理論になってしまうのです。
実は先に挙げた「三橋貴明氏VS上念司氏」は実は同じことを主張しています。
- 消費税増税は間違いだった。
- 量的緩和をするべきだ。
- 日本の財政は破綻しない。
そしてMMTはこの3つを「理論」として説いているのです。
それともう一つ。
MMTの考え方は昔からあった貨幣理論を体系付けたもので、新しい理論でもなんでもありません。
MMTはお金の常識な理論です。
従いましてMMTを否定するエコノミストなどは、その看板を下ろした方がよさそうに思います。
それでは「3分でわかるMMT」を始めたいと思います。
MMTが誤解される理由
MMTに関する解説はいろいろあって、あれこれ読むと迷ってしまいます。
最初にMMTを今のこの時の状態でわかりやすい言葉で説明します。
- デフレが回復するまで国債を発行する。
- 政府の財政を黒字化(プライマリーバランスの健全化)することに意味はない。
- その国債は自国の通貨で買う以上、政府の財政は破綻しない。
そしてMMT反対論者の考えはこんな感じです。
- MMTは大きな政府へと導き、社会主義国家になる。
- 国債を際限なく発行することでハイパーインフレになる。
わかりやすい言葉で説明したことが「理論」です。
反対論の話は「政策」です。
繰り返しになりますがMMTは昔からあった「理論」の体系です。
しかしMMTの「理論」に、間違った政策に紐づけるとMMTは愚論・愚策になってしまいます。
典型的な例がアメリカ大統領選挙から身を引いた、民主党上院議員のバーニー・サンダース氏です。
こともあろうか、MMT主唱者の一人、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授がサンダース氏の政策顧問となり、社会主義政策を打ち出したことから、MMTは左翼思想のトンデモ論になったと筆者は考えています。
引用:Wikipedia様
サンダース氏は、かつての日本の民主党のような教育、医療の無料化、完全雇用などを唱え、財源はMMTの「理論」を悪手に利用し、全て国債の発行で賄うと言ったもんですから、従来の経済理論学者から「それではハイパーインフレになるではないか!」と散々に叩かれたわけです。
そしてMMTは我が国日本の財務省にとって、大変不都合な理論です。
これまで財務省が騙し続けてきた財政破綻論の嘘を、MMT理論によって論破されてしまいます。
それを恐れて、御用有識者を総動員して潰しにかかっている状態に筆者は見えます。
- 政府の財政は破綻寸前。
- 国民の借金は約880万円。
- 子孫に借金を残すな。
裏を返せば、MMTによってお金の正体を知ると、これまでの経済学をひっくり返すほどのインパクトがあります。
そうなるとこれまでの経済学の常識を守ろうとする勢力が保身の走り、正しいものを否定します。
何かに似ていませんか。
そうです「コペルニクス的転回」。
ガリレオが唱えた「地動説」はMMTで、これまでの経済学が「天動説」と言われる所以です。
しかしガリレオの時代に比べ「MMTは正しかった」という結論に至るまで世界は待ってはいられないのです。
世界の資本主義経済はコロナショックで崖っぷち状態に追い込まれ、特に我が国日本はこのまま財務省が唱える「天動説」で政府の財政政策を進めたら日本経済は終わります。
MMTの正しい理解
MMTはお金の基本を定義しています。最初に以下の言葉を念頭に置いてください。
ちょっと違和感を感じますね。
お金をむやみに市中にばら撒けば、それぞれ事情は違いますがジンバブエ、ベネゼエラのようにハイパーインフレになると思われがちです。
そうならないようにMMTはインフレが起きないために、財政出動はデフレギャップまでという提案を含んでいます。
「そんなに上手くゆくものか」と思いますよね。ここまででMMT理論が終わっていたら筆者もトンデモ論者でした。
MMTがトンデモではない理由は「信用創造」。
ここから少しだけ話が難しくなります。ちょっとだけ我慢です。
MMTのキモ、それは「信用創造」
MMTが定義する「信用創造」の解釈も、これまた天動説派はキテレツな解釈を始めます。
「政府でもなく日銀でもなく、銀行が貸し出せばお金が生まれる、そんなバカな話があるか」と間違った説明をします。
そして決まり文句のように「日銀の買いオペ(銀行から国債を購入してお金を増やす)でお金を市中にばら撒くとインフレ率が上がる」と説明します。
本当でしょうか?
第2次安部政権当初、黒田総裁は当初異次元緩和をして日本経済を上向きにしました。
しかしインフレになりませんでした。
引用:新世紀のビッグブラザーへ様
なぜでょうか。
それは銀行がお金を供給しないから、というか出来ないからです。そして国民がお金を使わないからです。
そして銀行はこれからもデフレが続くとたかをくくっているのです。
(なので定期預金は低金利。)
安倍政権はインフレ2%達成の後に、誠に愚かな消費税増税をしたことで、財政政策の果実を元の木阿弥に至らしめました。
これでインフレになろうものなら経済の奇跡です。
むろんそんなことは起きるわけがありません。
【このままでは起きてしまう日本経済の崩壊】
- 企業大量倒産。
- 大規模なリストラ。
- 失業者増大。
- 社会保障制度の劣化。
話を戻して、さて信用創造とはなんでしょうか。
これまで筆者も含めてお金とは、下図の絵の通り「銀行が国民からお金は集めて企業などに融資する」という風に考える方が大半ではないでしょうか。
銀行が融資するお金は、銀行が集めたものではありません。
ではお金の供給は、一体どんなオペレーションが行われているのでしょう?
その実態です。
- 銀行の国債購入代金は「日銀当座預金」に入ります。
- すぐさま政府の「日銀当座預金」に振り返えます。
- 政府は、様々な政策、国策事業を請け負う事業会社に「政府小切手」で支払います。
- 「政府小切手」を受け取った事業会社は銀行に持ち込みます。
⇒ここで預金が生まれます、そして民間の貯蓄が増えます。 - 銀行は「政府小切手」を「日銀当座預金」勘定に移します。
- そして銀行は「政府小切手」の代金取立てを日銀の依頼します。
(国債の日銀直接引き受けは財政法で禁止です。そのためこんな面倒な手続きになっています) - 日銀の依頼で政府は政府「日銀当座預金」から銀行の「日銀当座預金」に振り替えます。
さて銀行が購入した国債代金は、結局ぐるりと回って政府に戻ってきました。
そしてここからが大事なことです。
預金は返済されれば相殺されます。
国債も償還期限がありますから償還したら相殺されます。
- 自国通貨で国債を発行していれば、インフレが起きなければ、財政赤字は起きない
- 銀行が企業などに貸し出しを行うと、その金額分だけの預金が生まれる。
これがお金の真実です。
なにより西田議員の質問に対する日銀黒田総裁の答えがMMTの「お金の理論」が正しいことを物語っています。
参議院予算員会でこう述べています。
銀行は信用創造で10憶でも100億でもお金を作り出せる。借り入れが増えれば預金も増える。 これが現実ではないですか。どうですか、日銀総裁。 | |
銀行が与信行動をすることで預金が生まれることはご指摘の通りです。 |
引用:西田昌司氏@自民党HP様/黒田東彦氏@Wikipedia
MMTで期待できる経済効果
ミルトン・フリードマン氏は日本を俯瞰して、真摯な眼差しで日本経済を再生するためにこのような提言を述べています。
出展:ミルトン・フリードマンの日本経済論
三橋貴明氏も上念司氏も繰り返しになりますが、同じことを主張しています(①②)。
- 消費税増税は間違いだった。
- 量的緩和をするべきだ。
- 日本の財政は破綻しない。
日本の財政は破綻しない
「③日本の財政は破綻しない」の理由です。
先の国債とお金の関係を見れば一目瞭然です。
更に言えば、政府と日銀のバランスシートをみると日本財政の健全性は一目瞭然です。
最初に政府のバランスシートです(会計年度は最新の平成30年3末です)。
財務省提灯メディアは下図赤枠の負債合計1、469兆円をベースからもろもろ差し引いて「国は国民から1、000兆円の借金をしている」と騒ぎたてます。
しかしこれはあまりにアンフェアで、かつ大間違いのフェイク報道です。
先ほど説明したように、実際の国債購入代金は「日銀当座預金」に繰り入れられています。
言い換えれば日銀が買っているのです。
そうなると日銀は財務省と連携子会社。
常識的な経理処理として財務を合算しなければなりません。
下図が日銀のバランスシートです(会計年度は最新の平成30年3末です)。
上記赤枠「銀行発行券」がお金です。その下の赤枠が「日銀当座預金」です。
「日銀当座預金」はいつでも「銀行発行券」にすることができ、また返す必要のないお金。
問題なのが資産の部の国債約448兆円。
これが財務省のバランスシートの下の赤枠にある「資産・負債差額」の大半。
差額は492兆円ー448兆円=44兆円
財務省のその他の負債はバランスシート上の資産と≒イコール。
よって日本の財政は国債も、その他資産も健全だと言えます。
まとめ MMTから学び、今成すべきこと。
最近になり、日銀の黒田総裁は財政拡大に触れ始めました。
我が国日本のここ20年間の経済史は、世界のMMT論争の恰好のサンプル(餌食・恥)になっています。
- 金融緩和をしてもインフレにならないのはなぜか。
- 金融緩和をしてもデフレを脱却できないのはなぜか。
※上記2つは同じことを言っています。
そうなった原因は簡単です。財政を拡大しつつ、消費増税をしたことに他なりません。
上念司氏は「『コロナ債』でも発行して、お金を国民に配れ!」と言います。
上念司氏の話は、これまでお話ししてきたようにちゃんとしたMMTの裏付けがあると言えます。
関連してMMTのもう一つの提案「就労保証プログラム」です。
MMTが持ち込んだこの理論も極論化して批判する人がいます。
- MMTは大きな政府にしてしまう。
- 働く場(仕事)を国が決める。
- 社会主義思想だ。
MMTはそんなことは言っていません。
上念司氏の「『コロナ債』でも発行して、お金を国民に配れ!」は言い換えればMMTの上記提案だとも言えます。
そして財務省とその取り巻き以外の、健全な頭脳の持ち主の方々は「消費税を廃止」を訴えます。
- 国民支給金を継続的に行う、財源は新規国債。
- 日本をインフレになるまで消費税を廃止。
その正当性は冒頭に上げた、このグラフが全てを物語っています。
引用:新世紀のビッグブラザーへ様
少し古い外電ですが、日本人発でこのようなニュースが配信されています。
政府、国会議員はこれ以上、日本を苦しめる、恥をさらす政策を一日も早く正していただきたい。
アメリカFRBは3月23日に「量的緩和を制限なく実施」と思い切り国難対処に向けて財政出動に舵を切っています。その額3兆ドル(4月25日現在)。
ところで同じ考えているなら三橋貴明氏と上念司氏は同じ論戦を張っていますが、この国難に共に立ち向かって頂きたいと切に願います。
筆者はその願いを込めて、本記事を書いた次第です。
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