コロナショック対策で、消費税減税だけをしたら大量倒産を招く理由
政府はコロナウイルスが招く実質恐慌への対策を検討しています。そのポイントは2つです。
- 消費税減税
- 国民給付金
さて①の消費税減税、もしくは消費税をゼロにして、②をしなかった場合にどうなるか。
恐らく小規模事業者の大量倒産を引き起こします。
【倒産する会社規模:売上高1、000万円以下】
- 中小企業
- 個人経営者(個人事業主)
- フリーランス
理由は1点です。
消費税の大事な側面
お勤めの方々にとってはさぞかしご不満でしょう。
- 受け取った消費税を”益税”にするとはふざけるな。
- もらった消費税はちゃんと払え。
- サラリーマンは所得税を払っている、不公平だ。
かく言う筆者もそう思っていました。
しかし筆者は「会社勤め」から「個人事業主」へと働き方を変えて、初めて益税の意味というか側面を知りました。
会社勤めの皆様に反感を抱かれることを承知で言います。益税とは、例えて言うなら零細事業者の救済処置です。
実際個人事業主になってみると、益税を売上金額として組み入れなければ事業が成り立たないことを実感しています。
零細事業者の実態
個人事業主数は年を追うごとに減り続けています。恐らく現時点でグラフから300万社以下だと推察されます。
引用:小規模企業白書 2019 (中小企業庁)
反面、非正規雇用は増え続けています。
引用:引用:総務省統計局労働力調査(詳細集計)
個人事業主数が減るのは事業環境が極めて厳しい状況にあるからです。下図からわかる通り、平均経常利益は約5%程度(中小企業のくくりで)です。
引用:小規模企業白書 2019 (中小企業庁)
消費税減税・ゼロ化は、この僅かで貴重な経常利益を吹き飛ばします。
事業を成功させるには利益を出すこと。経営者は百も承知です。
世のコンサルの方は、大企業の事業改革提案で真っ先に経費削減の提案をします
ところが個人事業主・フリーランスの方々は経費の削りしろなど無いばかりではなく、大半が持ち出しをしているのが実態です。
と思う方もいらっしゃると思います。くどいですが筆者もそう思います。
ところが個人事業主・フリーランスの大半は下請け。「金額を上げてください」などと得意先に言うものなら即刻取引停止です。
何事も仕事を引き受けるとは、収入を得ると同時にリスクも背負うことです。
これまた二度と仕事はありません。全て自己責任で自己負担で頑張るしかないのです。
参考までに個人事業主の年収グラフです。
引用:http://jigyou-tax.hajime888.com/様(データ元:国税庁)
他人事ではすまされない
大企業の人員構成は大きく3つに分類できるそうです。
- 社内失業人員(仕事をしない、できない)
- 社内余剰人員」その他働く者すべて
- 社内余裕人員(先行投資で研究などに従事)
「私は大丈夫」と言っている人の大半は「社内余剰人員」に分類されます。
大企業は経費の削減余地があります。真っ先に検討されるのが人員削減(リストラ)。①⇒②の順ですれば利益を確保できます。
毎日のように、ニュース記事で大企業のリストラ話が報道されています。さて、そのリストラされた方々はどこへ吸収されるのでしょう。
政府は「働き方改革」「70歳まで働け」と言いますが、セーフィティネットな仕組みなど、どこにもありません。
筆者は以前中高年の方を対象に就活のボランティアをしていました。
筆者の知り合いもリストラ・早期退職のあと、一定数が個人事業主になっています。
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そこでの経験則ですがリストラされた方の選択肢は3つです。
- 転職に成功する
- 個人事業主になる
- 非正規雇用になる
頼りの非正規雇用も運輸関係以外はほぼ低調です。
引用:厚生労働省
まとめ
コロナショック対策の中で、愚の骨頂策はこれです。国民のことなど考えず、屁理屈をつけて自分達の利益誘導、既得権益しか考えない政治家。言い出しっぺっを記憶しておきましょう。
- 肉引き換え券
- 魚介類引き換え券
- 旅行費用援助
都市封鎖などをしたら個人経営の飲食店は立ち行かなくなります。
以下をワンパッケージにして、早急に対策の実行をしなければ本当に恐慌になってしまいます。
- 消費税減税
- 一人20万円の国民給付金
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若い方はサラリーマン時代に副業、そして個人事業主となって成長してゆく選択ができます。しかしその過程で大方の人は、免税零細事業者を経験します。
ベンチャーなど新規ビジネスに果敢に挑戦し、苦しいスタートアップ時代に益税がなくなり、資金繰りで苦労することもあるでしょう。
今日もメディアで「消費税を下げろ!無くせ!」を唱えるエコノミストがいます。
裕福な彼らには小規模事業者(約300万社、家族を入れると最低600万人)のことなど念頭にないのでしょう。
そして小規模事業者のパワーを借りてきた大企業も、無関係では済まないのです。