世界銀行とパンデミック債
国際ジャーナリスト堤未果氏の「WHOのパンデミック宣言が1ヶ月以上も遅れた不都合な理由」というYouTubeを観て大変興味が沸き、筆者なりの解釈をしてみました(動画公開は4月18日迄です)。
恥ずかしながら筆者の世界銀行とパンデミック債の理解は、このようなものでした。
- 世界銀行:教科書で習った日本の復興を支援した組織(新幹線など)。返済がようやく完了。
- パンデミック債:まるで知識なし。
その筆者の思考の基本は、情報量はミクロですが、構想は例えば時として下図のようなマクロイメージで考えることがあります。
そんな中に、世界銀行とパンデミック債の話が飛び込んできたわけです。
堤未果氏の考察
簡単に堤未果氏の動画内容をまとめます。
- 1月29日、武漢で感染者5,974名(死者133名)。
- WHOがこの時点でパンデミック宣言を出せば感染が最小化できた。
- 出せない理由は、世界銀行が発行したパンデミック債(2017年6月発行)の期限(本年6月)。
- パンデミック宣言が出れば債券購入者に莫大な損害が生じる(元本棄損)。
- WHOは3月11日にパンデミック宣言(前日に中共がコロナ撲滅宣言)
- WHOテドロス氏はウォール街より中国を選択した。
- 国際機関信頼への警鐘(メディア・政策など)。
第一印象としては時系列でみると、とても説得力があります。
しかし世界銀行とパンデミック債がわからないと、正しい情報なのかわかりません。
そこで上記を念頭に、世界銀行とパンデミック債を調べてみることにしました。
世界銀行
「Wikipedia」様からの引用です。
引用:Wikipedia様
第二次世界大戦後の先進国の復興と発展途上国の開発を目的として、主に社会インフラ建設など開発プロジェクトごとに長期資金の供給を行う機関。
【日本】
・1953年に日本の借り入れ開始(東海道新幹線や東名高速道路などのインフラの整備に使用)。1990年に全額返済。
・1971年には日本は5大出資国の1つとなった。
【世界銀行債の発行経緯】
・世界銀行の方針は1968年にロバート・マクナマラが第5代総裁の就任で大きく変化した(融資拡大策へ)。
・融資額はそれまでの22年間の総融資額よりも、マクナマラの最初の一期四年の融資総額の方が大きくなる。
・マクナマラ総裁は各国の拠出金から転換し、世界銀行債を積極的に発行することで市場から資金を調達することに成功。
・拡大路線の中で、それまで融資対象に含まれていなかった教育など社会分野にも融資が行われるようになった。
・歴代総裁は特別な事情を除いて、大半はアメリカ出身。
・1960年大統領選挙に勝利したケネディ大統領がエスタブリッシュメントの重鎮、ロバート・ロベットに主要閣僚就任を要請。
・ロベットは健康状態を理由にこれを辞退、マクナマラを国防長官に推薦。
・国防長官時代に核戦略の転換(使用権限を大統領に集中)、3軍の情報集約、国防情報局設置など、近代アメリカ国防体制構築に尽力。
・泥沼化するベトナム戦争に対し、マクナマラは1967年11月初旬にジョンソン大統領に段階的な縮小を提案したが拒絶。
・1968年11月29日にマクナマラの辞意と世界銀行総裁への就任が発表された(辞職に際して大統領自由勲章授与)。
マクナマラ氏はバリバリで国防の全てを知っている人物、戦略家です。更にマクナマラ氏を推薦したのはエスタブリッシュメント。
次第に点が線になってきた感じがします。
「社会的に確立した体制・制度」やそれを代表する「支配階級」を言う。
政治学では、政治を「エスタブリッシュメント間の抗争」と捉えることもある。
- WASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)とアイビー・リーグ(米国東部私立大学連合)で構成。
- 巨大金融資本と軍産複合体で構成。
※これは筆者がWiKiの脚注にある、馬渕睦夫氏と西部邁氏の本を読んだことにあることが影響していると思います。
さて、世界銀行の成り立ちがわかってきました。
次にパンデミック債を調べてみました。
パンデミック債
堤未果氏はわかりやすく「パンデミック債」と述べていますが、正式名称は「大災害債券(キャット・ボンド)」です。
2017年6月28日に、世界銀行ウェブサイトでニュースで配信されています(以下、引用しています)。
「大災害債券(キャット・ボンド)」はパンデミック緊急ファシリティ(PEF:Pandemic Emergency Financing Facility)」を資金面で支えることを目的とした債券で、世界銀行が設立したファンドです。
※以下、パンデミック緊急ファシリティをPEFと称します。
感染症のリスクに直面する途上国に資金を即座に提供すること。
当時のジム・ヨン・キム世界銀行グループ総裁は「この新たなファシリティの設立により、我々は、世界が直面する最大級のシステミック・リスクから多くの人命と経済全体を守るための非常に大きな一歩を踏み出した。」と述べ、理念は崇高です。
さて、ここからが本題です。以下、「大災害債券(キャット・ボンド)」の記載をCAT債と称します。
・感染症が発生して予め設定されたトリガーが発動されると、PEF対象国に保険金が支払われる。
・投資家の投資元本の一部または全額が棄損する可能性がある。簡単に言えば「パンデミック」が発動されたら投資家は損をするファンドです。
そして世界銀行で同様のCAT債で、これまで「パンデミック」と認定されたことはありません。
また異常に高い金利(利息)と投資枠がモロな感じです。
投資家タイプ | 金利 | 規模 |
Aトラッシュ | 6ヶ月米ドルLIBOR+6.50% | 2億2,500万米ドル |
Bトラッシュ | 6ヶ月米ドルLIBOR+11.10% | 9,500万米ドル |
LIBOR (London Interbank Offered Rate) :ロンドンにおいてインターバンク取引で資金の出し手から提示される金利。ロンドン銀行間取引金利とも呼ばれる。
そしてパンデミック認定機関は「WHO」です。
エスタブリッシュメント=巨大金融資本。
堤未果氏の動画内容が繋がったように感じましたが・・・
まとめ
堤未果氏の動画で、WHO最大の民間支援支援金額順は下記であると述べています。
- ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団
- GAVIワクチン・アライアンス(ビルゲイツ出資)
- ゲイツ主導のAIDS・結核及びマラリア撲滅グローバル基金(GFATM)
上記組織はウォール街なのでしょうか?
またWHO支援組織は述べていますが、パンデミック債の購入組織とは言っていません。
筆者が調べたところでは、上記組織がウォール街のヘッジファンドである情報は得られませんでした。
ビルゲイツ氏は、3月13日にこう述べています(引用:東洋経済様)。
- コロナウイルス対策予算は今の何倍にも大きくする必要がある。
- 第III相臨床試験の完了とコロナウイルスに関する規制当局の承認を確保するためには、さらに数十億ドルが必要。
- パンデミック対策製品への投資は極めてハイリスクであるため、政府による資金援助が不可欠である。
- 公的資金は製薬会社のリスクを最小限に抑え、熱心な取り組みを可能にする。
- 加えて、政府と援助機関は、地球公共財として、数週間でワクチンの供給を創出できる製造施設に融資を行う必要がある。
- 政府はさらに、必要とする人々のためにワクチンを調達・供給するためにも資金援助をする必要がある。
- パンデミック対策には確かに何十億ドルという巨額の投資が必要だ。
- だが、この問題を解決するにはこの程度の投資が必要だ。
- エピデミックが課する経済的な痛みを鑑みれば、むしろ安い。
- 私たちはすでにCOVID-19が、人々の生活は言うまでもなく、いかにサプライチェーンや株式市場を混乱させうるかを目の当たりにしている。
- 最終的には、政府と産業界が合意に達する必要があるだろう。
- パンデミック時には、ワクチンや、抗ウイルス剤を単に最高入札者に売り渡すことはできない。
- こうしたものは、集団発生の真っ只中にいて、極めて必要性の高い人々にとって、入手可能で手の届く価格であるべきだ。
これらは各国のリーダーたちが今すぐ取るべき行動だ。時間を無駄にしている場合ではない。
ビルゲイツ氏のコメントは全文、実にまっとうな考えであり正しい見解だと思います。
堤未果氏の動画内容を改めてFACT性について評価してみました。
①1月29日、武漢で感染者5,974名(死者133名)。 | 5.0 |
②WHOがこの時点でパンデミック宣言を出せば感染が最小化できた | 2.5 |
③出せない理由は、世界銀行が発行したパンデミック債(2017年6月発行)の期限(本年6月) | 1.0 |
④パンデミック宣言が出れば債券購入者に莫大な損害が生じる(元本棄損) | 4.5 |
⑤WHOは3月11日にパンデミック宣言(前日に中共がコロナ撲滅宣言) | 5.0 |
⑥WHOテドロス氏はウォール街より中国を選択した | 2.0 |
⑦国際機関信頼への警鐘(メディア・政策など) | 4.0 |
FACT評価 | 3.5 |
②はもっと早く出せた可能性が高いと筆者は強く感じます。理由は最後で紹介します。
③これまでお話しした内容から、あまり関係ないと思います。
これまで述べたことから、筆者にはどうも⑥も違うように感じます。
やはり「WHOテドロス氏は中国に忖度した。」と思います。
全体的なマクロ感は同じなのですが、今回の「ウォール街vs中国」は少し無理筋な印象を持った次第です。
以上、国際ジャーナリスト堤未果氏の考察に対しての、情弱者である筆者の考察。更に紹介動画の情報での評価です。
堤未果氏の意図を全て筆者は理解してはおりません。
参考になれば幸いです。
最後に②の理由について最新情報を更新しました。合わせてお読みください。
新型コロナウイルスの正体② 真実へ近づく昨日の河添氏の動画で、本来あったはずの武漢P4研究所が昨年5月に取り壊された情報があり、以下記事を追加しました。【追加記事:消えた武漢P4研究所】昨日の河添氏の動画で、本来あったはずの武漢[…]